怪物の討伐

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怪物の討伐

俺の名前は伊木 桜牙(イギ オウガ)。今、死にかけてる。夜、全身血まみれで、ゴミの山に埋もれている。 俺がこんなことになったのは、今から数時間前だ。 -数時間前- 「それでは今から、研究所『エンド』が生み出した怪物『デッド』の討伐を行う!奴等は知性はほぼ無いが、人を殺すことに関してはプロだ!躊躇なく弱点を狙うだろう。そこで、我々も奴等の弱点を狙う!奴等は体のどこかに『中心』と呼ばれるコアがある。それを破壊するのだ!個体によって中心の位置は様々だが、それは攻撃して、奴等が避けさせる場所にある!それをあぶり出す為、何度も何度も攻撃しろ!それが、人類の絶滅を防ぐ、唯一の方法だ!では、出陣!!」 デッドとは、研究所エンドが生み出した怪物。とんでもないスピードと回復力を持っており、中心を破壊しなければ消滅しない。 そして、デッドに対峙した人間は、あらかた死ぬ。それは出陣してから1時間後にわかったことだ。 奴等と人間では力の差が有りすぎた。スターポリスが装着するパワーベルトでは、逃げることの補助にしかならない。 しかし、たまに逸材がいる。恐怖を克服し、自分が死ぬことに何も感じない者だ。デッドの返り血にまみれ、無表情で戦い続けている。 だが、伊木はそれではなかった。死ぬのが怖く、逃げ回ることしか出来なかった。 あるときデッドに追い付かれ、その大きな手によって、重症を負わされてしまった。 ゴミの山に運良く埋もれ、デッドは伊木のことを見失った。 死ぬのか。そう思った時、今までのことが走馬灯として伊木の頭に流れてきた。 そうか。これが走馬灯。ああ、死ぬんだな。 「く...そ、奴等、絶対に...殺してやる」 自分じゃ到底出来ないようなことを呟きながら、そのまま深い眠りについた。多分、永遠に目覚めることはないだろう。
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