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謎の弾丸
「よ、目が覚めたみたいだな」
ここは、風間の研究所か。俺どうなったんだっけ。まず、俺はクローンで、デッドに殺されて、そして、風間にリボルバーで左腕を撃たれた。
「風間、俺はどうなった?」
「...このリボルバーは普通のリボルバーだが、肝心なのはこの弾だ。こいつには、とあるデッドの体液が多く含まれている。他にも安定させるために薬品を入れているが、人間に使うのは初めてだ」
「じゃあ俺は、デッドになったってことか?!」
「そういう訳じゃない。左腕だけだ。安心しろ」
急いで袖をめくると、肘から先がデッドのものになっていた。
「これが、俺の腕?」
「ああ、その左腕は今、体液を欲している。早く何かの体液を吸わせないと、お前の体が喰われちまうぞ」
「お、おいおい!大変じゃねえか!...よだれかなんかで対応出来るか?体液だし」
すぐさま腕によだれを垂らそうとするが、風間はそれを止めさせた。
「全く、ちゃんと話を聞け。よだれでもいいが、こいつがもっと欲しているのはデッドの体液だ。だから早くデッドを殺せ。お前の願いが手に届く所まで来てるぞ」
デッドを殺して、デッドの体液を吸わせる。これからは、それが伊木の生きる目的なのだ。
「あと、デッドを殺したら、聞きたいことがある時以外、俺の研究所には近づくなよ。外に出たら、デッドを殺しながら養成学校に戻るんだ」
「ああ...分かった」
出口のドアを開けると、もう朝になっていた。ここは山のようだ。ふもとを見てみると、弱っているデッドが一匹ウロウロしていた。
「すう...ふっ」
高速で下山し、デッドの元にたどり着いた。
怖い。怖くてしょうがない。弱っているとはいえ、そいつの体には人間の血がべっとりとついていた。
勇気を振り絞り左腕を振り下ろすと、デッドの体液が体全体にかかった。左腕は、中心を捉えて、つまんでいた。
そして、デッドの体液を素早く吸収し、脈打っていた。
「...うぉおおおおおお!!!!!」
伊木の雄叫びは、山全体に響いた。
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