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辻の秘密
「辻の部屋、声が聞こえない」
かれこれ1時間ほど待っているが、一向に気配が感じられない。つまり、辻は出かけている?。
「チッ、無駄足踏んじまったな」
女子寮から離れ、一人作戦を考えていたが、何も浮かばなかった。
「また改めて来るしかねえな」
伊木は自分の寮に戻ろうとすると、向こうの方に辻の姿が見えた。真剣な顔で誰かと話している様だが、その相手は壁に隠れて見えなかった。
「あれは、辻...話し相手は誰だ?」
しばらく見ていると、辻はその人物と別れ、キョロキョロしてから伊木を見つけた。さっきとは違って、笑顔だ。
「伊木くーん!」
「あ、ああ...」
元気に手を振ってきたので、それに対応する。辻らしい姿だ。辻は走って伊木の元に来た。
「女子寮のまわりでウロウロしてたら怪しまれるよ?」
「なあ、辻。お前、エンドの元研究員と関わりあるか?」
「......」
辻の顔から、一瞬にして笑顔が消えた。心理学にも手を出していた伊木だったら分かる。考えを巡らせているのだ。
「...辻?」
「え?ああ、エンドの元研究員?知らないなぁ」
絶対に知っている。これは勘じゃない。伊木はそう確信した。
「...じゃあ良かった、ごめんな?」
「ううん、全然」
「風間は元気か?」
「うん!さっきも風間さんとデッドの...はっ!」
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