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思えば、いつもいつも
そうだった。
お母さんはとにかく
ケチな人で!!
わたし、髪を切りに
美容室に連れて行って
もらえなくて、
いつもお母さんが
チョキチョキ切るから、
わたしの頭は定期的に
マッシュルームみたいに
なった。
キノコが嫌いになった。
他にも、
回転寿司とかの小分けの
わさびや甘辛タレを人目を
気にせず大量にゴソッと
取って持ち帰るし、
わたしに服なんて全然
買ってくれないし、
わたしの体操服なんて
ピチピチなのに、
「あとちょっとで
卒業でしょ!」って
言われて、小五の時から
買ってもらえてないし、
店員さんに、
「今○○がおすすめ
なんです~~~!」って
言われたらすかさず、
「それお高いんでしょ!?」
って物凄い勢いで警戒する
から店員さん苦笑いだし、
ケータイは未だに
ガラケーで、メールと
電話しか出来ない1番
安いプランだし、
ていうか買ったのが
わたしが生まれた時とかで
一切機種変してないから
ものすごくごついガラケー
未だに使ってるし、
ティッシュは勿体ないから
2枚に剥いで使えって言うし、
トイレットペーパーを
カラカラ音を立てて
使ったら「使いすぎ!!」
ってドア叩いてくるし、
シャンプーとボディソープは
水で薄めて使うし、
暖房代が勿体ないとか
言って家の中でダウンとか
着てるし、
紅茶のティーパックは必ず
3回使うしっ!
こんなお母さんだから、
家に迂闊に友だちを呼べない!
「お母さんはっ!!
なんでそんなにケチなの!!」
わたしが地団駄を
踏みながらこういうと、
お母さんは半笑いした。
「ケチじゃなくて
倹約家なのよ~~~~、
やりくり上手というか、」
「じゃあそのやりくり
したお金はどうしてるのっ!
わたしお母さんが
何かにお金かけてるの
見たことないよっ!」
わたしがこういうと、
お母さんはため息をついた。
「あのねぇ、
うちはビンボーなの、
お父さんの稼ぎが
ぜーんぜん少ないから
お母さんがこうして
頑張ってるの~、」
のらりくらりと
言い返してくるお母さん。
んんんんんんんんん!!!
「とにかく!!!
スーパーであんなふうに
半額シールをねだるのは
やめて!
友だちに見られたら
恥ずかしいもん!」
わたしがこういうと、
お母さんは紅茶を啜って
「まあまあ、」とわたしを
なだめてきた。
「そんなこと言ってるけど、
りさも最終的には
お母さんみたいに絶対
なるから~~。
お母さんの子だもん。」
お母さんの子だもん、
お母さんの子だもん、
お母さんの子だもん、
お母さんの子だもん、
お母さんの子だから、
わたしもいつか、
お母さんみたいに
堂々としたケチになる?
や、
やだぁあああああああ!!!
「ならないもん!」
とはいえ、呪いの効果は
ばっちりで、わたしは
小学6年にしてどうすれば
ケチな性格にならないかを
悩むことになりました。
そんな残念な感じで
思春期に突入。
で、中学1年のとき、
従姉妹のお姉ちゃんの
結婚式に呼ばれた。
「まぁ、豪勢な食事!
残りを包んで持って
帰ったらだめかしら、」
お母さんがこんなこと
言ってて本当にそんなこと
したらどうしようって
ヒヤヒヤ。
おまけにわたしだけ
制服で参列だし。
わたしと同年代の女の子は
みんな可愛いワンピースとか
着てるのに。いいなぁ。
ガックリしながら、
トイレの個室で用を
足していると、
化粧直しのために
わたしの親戚の
おばちゃんたちが
入ってきた。
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