特別な夜

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「やだー!寝ないのー!」 息子がお気に入りのぬいぐるみを抱きしめ、足をバタつかせながら叫ぶ。 「サンタさんに会うまで起きてるのー!」 「早く寝る子にしかサンタはこないぞー?」 そう脅しても、息子は諦めない。 「くるもん!ひろき君が、去年待ってたらサンタさんが来てプレゼントくれたって言ってたもん!ぼくも待つもん!」 君のサンタは赤い服も白い髭も用意してないから姿を見せられないんだよ、なんて言える訳もなく。 ひろき君のサンタに、心の中で恨み言を言う。 同時に、力のこもった息子の顔に自我の芽生えが嬉しくもなる。 覚悟を決め、息子の横にどかっと座った。 「よし、待つか!」 「うん!」 今晩は、息子が眠るまで付き合ってやろう。
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