会議は資料の朗読会じゃありません

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 「僕は、勉強を否定するつもりも、ゲームを推奨するつもりもありません。これから盛んになっていくEスポーツなりうるスマホアプリを開発しようと考えています」  これが、浅香くんの狙いだった。  「そこで、既出のスマホアプリの共通点を纏めてみました」  浅香くんが用意したボードには「指で操作する」「広告がある」「課金がある」「ユーチューブ動画で、攻略を拡散するひとが現れる」といったスマホアプリのあるあるがずらりと記載されている。 確かにスマホアプリである以上、指で動かすわけだし、高性能なアイテムを買うなら課金するか広告を観覧するか選ばされるのも事実だ。ユーチューブ動画でゲームの攻略法を拡散するひとも少なくない。  「この中から、これから開発するスマホアプリに必要なものと、そうでないものを刷新していきましょう」  「課金システムは、いらんと思います!」  プレゼンに参加していた、パート社員の本乃しおりさんが挙手した。 いきなり課金システムを刷新するとは、スマホアプリの開発にはハイリスクローリターンなことだ。課金することで強いアイテムや装備を手に入れられるわけだから、それがなくなると誰も性能の高いアイテムを入手することができなくなってしまう。正気なのか本乃さん?  「重課金プレイヤーしか、スマホアプリで生き延びることが出来なくなります」  「そうだね。課金額が多い人がスマホアプリで有利になるのは事実だね。他に刷新したいものはあるかい?」  「広告バナーもいらんと思います。はっきりゆうと他社に邪魔されとるようなもんだと思います」  確かに広告バナーはなくてもスマホアプリを快適にプレイ出来る。そんなものをうちのスマホゲームにアップさせるメリットはどこにもないし、それでインストールするひともいないだろう。そこは本乃さんの言う通り撤廃したほうが良いと思うな。  「ぼくは、その意見には賛成です、自他ともにメリットがありません」  「本乃さんと堀田くんは、広告バナーを廃止にして欲しいんだね。スマホアプリに関係ないものだし、刷新して問題ないかな。他にはないかい?」
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