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「指で操作するってのは、どうだろう」
「指で操作するのは、スマホアプリの定石だからね。ぼくが思うに、スマホゲームのユーザーが抱える問題は、ユーザーの孤立なんじゃないかな?」
ユーザーがSNSを退会する理由は、コミュニティ内で多発するユーザー間の衝突だとぼくは考える。叩かれる側に誹謗中傷コメントが殺到し、退会者が出てしまうのがソーシャルゲームの常だというが、それはネットトラブルを容認した無責任な発言だ。
ネットトラブルに対処できないなら運営会社辞めてしまえ! と叫びたい。
「文章」だから好きなようにコメント出来るなら「文章」で会話することを廃止すべきだし「コミュニティ内でもプレイ中でもだらだら喋る」なら、メリハリがつけられる仕組みを作るべきだ。例えば「音声入力」とか。
「音声入力? とか、どうだろう」
「音声入力か。そういう方法もあるな。けれど音声入力なら、アフレコアプリやカラオケアプリなど、既出しているものもあるよ」
浅香くんの言う通りだ。世の中には声劇アプリ「アフレポ」やカラオケアプリ「プチオケ」といったものが既に登場している。指で操作するタイプと比較すれば、その分野の発掘はまだ浅いのがチャンスだと思う。
「そうなると、声劇アプリの必要なものとそうでないものを刷新しなければならないよね」
「ひとが書いたシナリオを前読みしなければならない」
「そうなんだ」
「文章が長かったり、難しい漢字を読まなければならないことも多い」
「なるほどね」
「なにより人数制限がねぇ。最大五人じゃあ少な過ぎるよ」
「五人かぁ」
本乃さんが口にした声劇アプリの欠点を、浅香くんはメモ帳に書き写す。声劇アプリって聞いたことはあるけど、実際はそんな感じのアプリなんだ。
これらの欠点を改善するとなると、同時にプレイ出来る人数を倍に増やして、難しい漢字や長文のない簡潔な、文字の羅列を読んでもらうと、ユーザーさんにもストレスは少なくなるだろう。ぼくは、この考えを浅香くんに伝えた。
「文字の羅列を、声に出して読む。か、まるで読経、というか呪文を詠唱しているみたいだね」
「呪文を詠唱して、プレイヤー同士で対戦する感じのアプリにするってゆうことでええん? ちゃっかり声劇アプリからヒント貰っとるが」
「ふむ、ランチェスター戦略は投稿小説アプリがよく使う方法だが、堀田くんもよく考えたね。では皆さん、呪文を詠唱して対戦するアプリゲーム開発、協力をお願いします」
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