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その1 大打グループの進む道…。 それは、光り輝く真っ黒な道程である。 しかし、彼らはやるべきことをやって然るべき状況を待つという、自己実現の原則に則した反復継続の理想過程を現出させていた。 この時、既に…。 したがって、コトの転換の多くは、受動的要因の発生にかかっていたと言える。 その一大転機は、それから1年半後に”勃発”するのだが…。 ... 「…黒原盛弘が死んだって⁉…それ、確かなのか、御手洗!」 「間違いないですよ、ノボルさん。3日前、心筋梗塞だか何だかで急死ってことです!」 「そうか…。何とも急だが、さて…、そうなるとだ。どうなのか…」 「ここ東京埼玉県境の界隈では、もう水面下の蠢きがもうすでにのようです。ヘタしたら今のフレーム、ガラガラポンですよ。ウチらもそれなりの備えにかからんと…」 「御手洗…、オレらはよう、この都県境には勢力拡大を目的として進駐してるんじゃねえんだ。今んとこはな。安易な着想は慎めよ!」 「はあ…、それは分かっとりますが…。でも、ここで呑気に構えてる気分にはなれんとですよ!今までずっとガキ勢力に色目流してきた星流会は、黒原の押さえていた勢力を丸ごと抱えちゃいますよ、この状況を一気に掌握して…。そしたら、諸星会長が唱えていた長年のビジョンが形を成すかもしれんです。それ、ボケッとただ見ておるしかねえんなら、いっそ、ここから一時撤退もアリじゃあないんですかね?」 ノボルには、とにかくこの居ても立ってもいられないという、焦燥感を抑えられない御手洗の心の内が十分理解はできたのだが…。 ... 「いいか、御手洗…。まず以っては事実として、この地を仕切る星流会は東龍会の”子会社”だ。でだ…、オレたちはその親会社の提携先なんだよ。”VIP”印のな。であればだ…、ニュートラルなポジションでここにいるんだから、子会社のお手並みをじっくり拝見ってスタンス、可だろうが?」 「まあ、アンタの言ってることはつくづく最もですけんど、”あの”黒原が死んだってことは、ガキ界隈のフレームでは、ダムが決壊したってことでしょ?その溢れかえる水の豪流に呑み込まれることは避ねえと。あくまで、こっちはガキのスタンスを保持せんといかん立場ですから」 「お前!”それ”にオレ達も呑まれるって言ってるのか?」 「可能性はなくもないですよ。大きな視野で見よればですよ、ココは相和会の干渉地帯でもありよるんです!”あの”相和会だ。単純に考えて、黒原がいなくなった…。それで、崩れたフレームの中から”誰かテキトー”なのを星流会が抱えて、ガキとの連携スキームが”できた”とします。それを親会社の東龍会が管理管轄でめでたしめでたしのストーリー完結って、ちょいと甘すぎやしませんかね?」 「なら、そこへ達する前に相和会が絡んでくると…。そんで、東龍会も安易には手を出させないアクションを打って来るとかって言うのか?ガキ勢力のアタマ越しで」 「そう言うことはありえるとです…」 「ふうむ…。そうなれば、ボケッとだけじゃあマズイか…」 一転して、ハマのドライガイ、大打ノボルは妙に素直だった。
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