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その4
剣崎
俺を起用した矢島さんの狙い…
これを機に、俺が相馬会長の”すべて”を把握する…
極端な話、ここに行きつくわな
...
なにしろだ…、相馬会長は他の組のトップではあり得ない、様々な思考の持ち主だ
それに基づいて、やくざの親分としては何とも独特の日常行動を実際に実践してきた
まずもって特筆すべきは、組の上がりには一切関与しない点だ
とは言え、組織としての最低限のルールは設けている
各組は毎月シノギの上がりを申告し、一定の上納金を総本部に収める
だが、チェックは不要だと相馬会長が相和会発足時に定めた、自己申告で完結するこの仕組みは今に至っている訳で、ごまかしは可能になる
今、相和会の稼ぎ頭である建田組は莫大な収益を得ている
それをいいことに、おそらくは相当の偽申告をしている可能性が強い
ここについては、これから俺が本家付きに就いて、それこそ地道にかつ慎重を期して調べることになるな
...
その他にも、矢島さんと俺は相馬さんが多くのことを組全体に伝えていないと見込んでいる
それこそ、どうでもいいような些細なことから、極端な話、組の存続に関わる重大事案まで…
何と言ったって、相馬豹一は何でもありの人なんだ
たぶん俺はこれから本家に入り、少なからず驚愕する場面を何度か体験することだろう
その上で、今想定されている相馬定男体制の後、矢島さん体制を樹立するための土壌を、今から作り上げて行かねばならないんだ
...
ふう‥、先が長い話ではあるが、要は一歩一歩の積み重ねがモノを言うってことだろうな
視点はしっかりと”そこ”に見据えていれば、あとは、すべての出来事をこちらの利する方向に誘導する…
要はそれを心がければいいんだ
ということで、当面は諸星への対処だな
フン、ここは一番、気合いれてやってやるよ
まずは撲殺男とミーティングだな…
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