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その6 南部 「…それで、Zの情報はどこが入れてきてんですか?」 「ああ、墨東とは近かったグループのAが親しい先輩を通じた話ってことで、俺の後輩んとこにな」 「かなり人を介してますけど、確かなんですかね…」 「その辺の裏は取ったさ。在○連中の有力と付き合ってる女から聞き取りもな。…近々、愚連隊が店へ徴収に出向く際、自分たちの縄張りを主張するため同行するってよ。そんなの知って、放っておけるかよ!黙ってたらヤツら、どんどんそこいらを押さえてくって。違うか⁉」 「わかりましたよ、先輩。オレも信頼できる仲間数人には声をかけます。もし、それが本当なら、連中とは正面からぶつかりましょう。こんな挑発行為されたんじゃ、黒原さんの実践されてきた理念をぶっ壊す蛮行だ。それは許す訳にはいかないし」 「おお…。まあ、なるべく多く人数集めて、連中が決行の現場へ乗り込もうや。Zへの偵察はAに手配させてるからよう、聖一には織田から一報を入れる。頼むぜ」 オレは砂垣さんの提案を受け入れた この機会だ 在○の懐へ飛びこんで真っ向からぶつかってみよう ヤツらにだって言い分はある 当然… こっちに対しての疑心暗鬼は、もともと拭えてないままだったんだし そもそも非在○のこっちだって、心の中では彼らへの偏見は持ってる 互いの不満や不信感がずっと燻っていたのは、あの黒原さんだって承知だった その上でみんなをまとめていたんだ このことは、あの人から直に聞いてるんだよな、オレ… ... 「聖一…、アメリカから帰ってきた紅ちゃんな、あの子と会って話ししたら、俺が今までずっと日本での差別意識を根に持ってたことを改めて自覚させられたよ。…アメリカじゃあ、いろんな人種がそんなカベを乗り越えて、様々な矛盾と向き合いながら、お互いに最低限理解し合って、同じ国民としてやっていってる。一方が卑屈になってたらよう、永遠にそのカベは超えられない。そのことをオレ自身、分かっていながら、”そこ”に長い間しがみついていたんだ。それをあの子に教えてもらった…。カルチャーショックだった」 この言葉は忘れられない… さらに黒原さんはオレに言ったよ 「…紅丸有紀は、既にここの少女たちを覚醒させてるよ。猛る女発祥の地と言われるこの都県境で、彼女がその理念を力強く掲げてムーブメントに出た。…これは俺のカンなんだが、若い女達が男の目を気にせずやりたいことをやれる世の中はさ、この動きが普及してできて行くんじゃないかって気がしてな」 オレは正直、この時黒原さんの言っている意味がビンと伝わってきた 心にズンと響いたんだ
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