打ち切り神

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打ち切り神

 目を開けると小太りの禿げたオッサンがニコニコしながら立ってた。   「……あんた誰?」 「オジサンは打ち切り神だ」  仕事のし過ぎで頭がおかしくなったようだ。俺は頬を思いきりつねる。何も起こらない。    自称打ち切り神? はどこから出したのか知らないが、使い古したであろう汚い本をパラパラと捲っている。やがて一枚のページで手が止まった。 「えー槍杉多朗(やりすぎたろう)34歳。週間老年ジャンクの編集者。トラックとの衝突事故で死亡か」 「は?なんで俺のこと知ってるの?ていうか俺死んでんの!?」 「えぇ残念ながら」 「じゃあなんで俺生きてんだよ!」 「今は魂を具現化させてます。実感はないでしょうが」  小汚いオジサンは未だにニコニコしている。このまま話を聞いといた方が良さそうだ。怒らせたらヤバそうだし。 「死んだ俺を呼び出したのはなんで?」 「実はそこが本題なのです」  オジサンは急に真面目な顔になった。 「私と一緒に打ち切り漫画を救って下さい」
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