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 お笑い番組はとても面白かった。2時間のスペシャル番組で日本でいうドッキリみたいなことをやっていた。お腹から笑って肩を揺らす。サンタイルさんも大声で笑っていた。番組が終わると勉強だ。僕たちは2階に上る。 「待っててね、教科書を持ってくる」  へえ!そんなものあるんだ!僕はちゃっちい机の後ろに座って鉛筆を握った。サンタイルさんは数冊の教科書を持って来た。真面目な顔をして僕の前に座る。 「何から始めようか」 「僕、数学で分からないところがあるんです。微分方程式」 「そう、それは僕にも難しいよ。一緒に解いてみよう」  ああ、こんなことを言われたのは生まれて初めてだ。中学の時は塾に通っていたが1対1で勉強することなんかなかったし、友達と勉強したことだって無い。それでも中学2年までは遊び友達だけはいた。その友達も僕をイジメるようになった。僕たちは向かい合って数学の問題をやる。時刻は10時30分だ。まだ2時間くらいは勉強出来る。お風呂はもう済ませてある。   集中して勉強していると時間は早く進んだ。気が付くと12時になっていた。 「今日はこれくらいにしておこうか」  サンタイルさんが言う。 「はい。有難う御座いました」 「明日はクリスマスプレゼントの仕分けだよ」 「頑張ります」  僕は握りこぶしを作る。
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