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「今年はキャロラインも呼ぼうか。クリストフくんは同じ年の子がいた方がいいだろう。ねっ」
キャロラインちゃんも呼んでくれるんだ。他にこの島に高校2年生の子はいないのかな。僕は首を傾げる。
「キャロラインはね、親から虐待を受けてたんだ。小さな頃、このセントジョーンズ島に来たんだよ」
サンタイルさんが言う。えっ。虐待?あんな可愛い子なのに。
「僕はそんなことをする親って分からないです」
「ああ、僕もだよ」
しんみりしてしまう。
「可哀そうですね」
「うん、だから仲良くしてあげてくれないかなあ」
僕は「はい」と返事をした。この島はサンタイルさんといい事情があってくる人ばかりなんだな。ということはアンジェリーナちゃんたち家族も何かあるのかな。
「みんな明るいから分からないですね」
僕は視線を自分の膝に落とす。
「この島は楽しいからね、そうだ!今日もジョージおじさんが食料を売りに来るよ。また買っておいてくれないかなあ」
サンタイルさんが僕が落ち込んでいるのを分かってくれたのか窺うように言った。
「今日は何を買うんですか?」
「パスタの具材を頼んであるんだ。ボロネーゼは好きかい?」
おお!食べたい、食べたい。この島は不便そうだが食材は何でも揃うみたいだ。今度、カレーの具材を買ってサンタイルさんに作ってあげようか。包丁でジャガイモの皮は剥けないから、それだけはサンタイルさんにお願いしよう。
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