27人が本棚に入れています
本棚に追加
「お父さんとお母さんと住んでるよ」
そうか。良かった。誰かに引き取られているんだ。サンタイルさんやアンジェリーナちゃんのお父さんやお母さんみたいに、良い人だったらいいな。
「キャロラインちゃんが来るまでここに居る?」
僕は首を傾げて言った。
「うん、クリスマスプレゼントの仕分けを手伝うよ」
「子供にそれをさせたら悪いよ」
「ぶうー」
キャロラインちゃんは頬を膨らます。あまりに可愛くて笑ってしまった。でも、何故か目の端には涙が滲んだ。楽しい街と悲しい街、それがこのセントジョーンズ島のような気がする。ポタっと涙が落ちる。こんなに感傷的になったのは久しぶりだ。
「クリストフくん、泣いてるの?」
アンジェリーナちゃんが心配そうな顔をする。
「あっ、いや。埃が目に入ったんだよ」
僕は照れたように頭を掻いた。
キャロラインちゃんは夕方遅くなってやって来た。部活があったのだと教えてくれた。高校に部活があるのに、何故みんなサッカーを知らないんだろう。
「キャロラインちゃんは何部なの?」
「私はね、魔法でボールを投げる練習してるの」
「えっ、魔法?」
そういえばサンタイルさんもアンジェリーナちゃんのお母さんも魔法が使えると言っていた。
最初のコメントを投稿しよう!