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(泣くな、私……)
声を押し殺して泣く私にの上に、ハンカチが降ってくる。思わず顔を上げると。
「ま、なべ……せん、ぱい」
(なんで、ここに……)
何も言えないままぷるぷると震える唇。うれしいのか悲しいのかわからない気持ち、どうすれば、私は。
「大丈夫か? 最近、お前は不安定みたいだが……ボクじゃ、頼りにならないか」
「……ごめん、なさい」
「言えない、事なのか?」
(絶対言えるわけないじゃないの……こんなの)
言ってしまえば真鍋先輩はきっと。
ソレじゃあ、すべてが台無しになる。私は昔から、こんな子だったか
ら。だめな、地味で、真面目で、融通が聞かない人間だったから。
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