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中学生になりたての時だって入学早々町を歩く不良がたばこを吸おうところを注意して、ソレを見た皆に『地味地味正義マン』って笑われた私と同じような思いを、先輩にはさせたくない。そりゃね。あのときの不良はイキりはじめなのか、注意されてすぐどこかへ消えたからいいものの、本気でやばいやつだったらどうしたんだよって今なら思う。でも。見逃せなかったんだ。道理に反した行動を、なあなあにできないのは、私だってそうだったから。
だけどさ、ソレじゃあ居場所がなくなるだけなんだよ。はじかれて、煙たがられて、笑われて……! そんなの理不尽だ。先輩は素晴らしい。いい人だ。優しい善人だ。なのに……っ!
(どうして皆はわかってくれない!?)
私が踊り続ければ、もっとおかしくふるまえば、世界は真鍋先輩の正義をたたえるのだろうか。苦しい。苦しい。行きにくい世界に、先輩と私は生きてる。せめて先輩だけは、そう思うのに私じゃ役不足だ。私じゃ真鍋先輩をヒーローにできない。皆の人気者に、してあげたかった。私がグレて、変人になれば、ソレを止める真鍋先輩は皆に好かれると思った。だから私は、踊ることにしたのに。
「ボクはお前に救われたのにな……」
「え?」
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