ダンスの理由

5/24
前へ
/24ページ
次へ
(本当は髪を染める気もなかったけどね)  ソレ位にわかりやすく変わる方が、目的にはちょうどいい。 「でもさー佐倉さんって派手な割には……」 「アレじゃない? 元が真面目だからはじけ方がわからないんじゃないの?」 「あー……地味だったもんね、佐倉さん。真鍋先輩の金魚の糞だったし」 「言い過ぎだってば」 (いや、真面目にそうだったと思うよ?)  内気で、引っ込み思案で。そんなあたしにとって真鍋君まっすぐで、まぶしい憧れの男の子だった。誰彼かまわずだめなことはだめという。そんな姿に憧れた。 「そこ! 人の悪口を言わない! 廊下で固まるな! 邪魔だろう!」 「すみません風紀委員長!」 (相変わらずだなぁ……)  未だに、あのことを思い出す。私達が、入学したあの日。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加