絶滅種の足あと

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「特集です。100年前を最後にこの地球から姿を消したあの絶滅種の足あとだと思われるものが発見されました。専門家の分析によればほぼ間違いないということです。これは世界的な発見です。現場と中継が繋がっています。コァーラさん」  テレビ画面が映り変わる。 「はい、こちらコァーラです。歴史的大発見を前に地元では大騒ぎです」  コァーラはマイクを住民に向けた。 「いやぁ、まさか自分の住んでるところの近くの洞穴から見つかるなんてね。びっくりするなって言う方が難しいですよね」  興奮を隠せない住民がテレビ画面に映る。 「まだ足あとだけしか見つかっていないですが…」 「いやいや、足あとがあるってことは生きてるって事ですよ。間違いないです。きっとあの洞穴の奥でひっそりと生きてるんですよ」  住民は自らに言い聞かせるように何度も頷いていた。 「以上。絶滅種の足あとが見つかった現場から中継でした」  画面がスタジオに戻った。 「私も図鑑でしか見たことないですから。もし本当に生きているなら是非この目で見てみたいものですな。我々の起源にたどり着けるかもしれない」  司会のウッシーが言う。 「私もです」と並んでいるコメンテーターのブッタとバアードは口を揃えた。
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