聖なる朝に、

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「……嫌だ。クリスマスなんだから、見せて」  そう言いながら、上がった華奢な腕を左手で拘束する。そのまま2,3歩下がって扉の裏側に連れていく。移動する最中、小梅は俺の言葉に更に頬を染めて、下からねめつけてきた。 「っ、そういうこと言うなら、本気で逃げるからな!?」 「…………うるさい」 「桃、……ッ」  まだ何かを話そうとするみたいに隙間の空いたそこに、そっと唇を重ねた。柔らかくてあたたかなぬくもりが、じわ、と伝わってくる。何度も何度も、その甘い吐息を食べつくす様にキスをする。懸命にこたえようとする小梅に、また愛しさが募る。 「も、も……ま、まって……」 「ダメ」  だって、小梅が自分で言ったんだよ?  ――……今日は、クリスマスだから、って。  だから、小梅から俺への贈り物、ちゃんと、全部受け取らせてよ? 「っ、」 「すきだよ、小梅」  唇の上で囁けば、小梅の吐息が溢れて飛散する。全部、飲み込んでしまいたい。ひとつも、零したくない。 「……ずっと、すきだよ」  小梅に、俺の”一生”をあげる。  押しつけがましいかもしれないし、俺から小梅への贈り物になるかは分からない。けれど、それでも俺は小梅に、俺の命を預けたい。  ねぇ、君は、受け取ってくれるかな。あの日の約束を、ちゃんと、叶えてくれるかな。 「桃、」  呼ばれた名前は、朝陽に溶ける。いつの間にやら地面に落ちた半纏に、小梅の髪が広がっていく。  そうして愛が、――……光に灯る。
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