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「もしもし、譲二?俺、昌樹だけど、芽亜里さんから電話来た?」
俺はまず笹木譲二に都合を訊きたかった。譲二がいないと心もとなかったからだ。譲二は頼りないようでいて俺の不安を絶妙に消してくれる、兄貴のような存在だった。
「ああ、さっき来たよ。お前も勿論行くんだろ?俺は実は・・・・。」
俺はドキッとした。譲二がいないと仕事が務まらないような気がした。
「ちょっとヤボ用で行けないかもしれない。」
「ヤボ用って彼女か?」
俺が訊くと譲二は高めの声で返事をした。
「えっ?何で分かったの。まあ、まだ返事は聞いてないから彼女未満なんだけど。」
「お前が告白しただけか?じゃあ、大丈夫だな。どうせ断られるだろうから。」
俺が笑いながら言うと譲二は言った。
「お前、バカにしてんの?そんなら彼女を連れて行こうかな。お前に見せつけてやろうかな。」
「何でもいいから、絶対来いよ。」
俺は電話を切ると携帯を取り出して芽亜里の番号を押した。
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