5人が本棚に入れています
本棚に追加
雨の日
若葉を濡らして雷鳴が響き、窓に雨粒が叩きつけられていた。
「お忙しいのにバイトを引き受けて頂きありがとうございました。」
芽亜里は藤木田探偵事務所の応接間に集まった俺達に向かって大きめの声で言った。金森文枝さんが俺達の前にアイスティーを置いた。
「今日はアイスティーしかなかったので我慢してね。若い人はコーヒーの方がいいんでしょうけど。」
「ありがとうございます。うまいっすよ、金森さんの作ってくれた飲み物、いつも!!」
笹木譲二が相変わらずその場の空気を壊す感じの大声で言った。
「さっそく、依頼の内容を説明したいと思います。今回の依頼は主に釧路での仕事で、ゴールデンウィーク中に終わると思います。
皆さんのお休みを潰すようなお仕事で申し訳ないのですが、宜しくお願いします。」
「ゴールデンウィークだけで終わりそうなんですか?」
俺はアイスティーをテーブルに置くと言った。
「はい、余程のハプニングがない限り、ゴールデンウィーク中に終わる予定です。
取り敢えず、先に依頼内容を言ってしまうと、浮気調査になります。依頼者の奥様は、夫がゴールデンウィーク中に出張先の釧路で浮気相手と合う予定である事を疑っています。
夫のスマホからそういうメールが出て来て、妻はその証拠となる写真を撮って来てほしい、と言っています。」
最初のコメントを投稿しよう!