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落ち着いてよく見ると、その体はあちこちに酷い怪我を負っているらしく、身につけている服は何か強い力で切り裂かれたかのような破れ方をしている。
(事故に、遭ったの?)
けれど、いつ?
姉さんがここに現れた時、彼女の肌は白く透き通っていて怪我の一つも見えていなかったし、服も見慣れた綺麗な空色のワンピースだった。その上に付けているミルク色のエプロンだって、どこにも傷は見当たらなかったように記憶している。
それじゃあ、なんで?
姉さんは、夢を介して私に何か伝えようとしているのだろうか。
いったい、何を?
「あなたのせいでしょう!?」
「―─!!」
その日は、そこで目が覚めた。
ロリーナ姉さんの怒声を耳にしたのは後にも先にも『あれ』が初めてで、意識が覚醒してからもあの時の顔と声が何度も脳裏で鮮明に蘇り、心臓がばくばくと嫌な音を立て続ける。
私のせい。それはいったい、どういう意味?
「そのままの意味さ」
先月、夢の中に初めて面識のない人物が現れた。
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