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「これが私たちの部屋!」
カリナはワクワクと部屋を見回した。
教室から廊下を渡り、らせん階段を上ると寮だった。
階段の踊り場で別れたミトは、そのまま男子用の寮へ入って行った。ミトの部屋の説明は、寮長がしてくれるらしい。カリナたちはその更に奥にある女子寮へやってきた。
部屋自体は古くて、柱や家具の木はあめ色になっている。でもそれがいい味を出していて、フルラが言った通り、雰囲気があって素敵だった。部屋には机が三つあって、一つは花で可愛く飾られている。
「ここは私のスペース」
フルラは嬉しそうにはにかんだ。
「こっちは私」
マレがぼそっとつぶやいて指さした。その机には、カリナが見たこともない鮮やかな模様が入った布がたくさん積み重ねられている。マレの国の衣装なのかなとカリナは思った。
「そして、ここがカリナの机ね」
フルラが指した机は、窓の近くにあった。外からは学校の庭が見えている。緑が見えて気持ちが良さそうで、カリナはすぐに気に入った。
「素敵ね。嬉しい! えっと、それでどこで寝るの」
「ここだよ」
マレが教室を出てからはじめて喋り、さっと机の横に付いたはしごを上った。カーテンを開けるとベッドがあった。
「なるほど、机の上がそれぞれ自分のベッドなのね」
「そうそう!カーテンを開けて、夜通し話すこともあれば、カーテンを閉めて秘密の日記を書くこともできるのよ」
フルラがウインクして楽しそうに教えてくれた。カリナもつられてくすくす笑う。
「私、二人がルームメイトでよかった! これからよろしくね」
「よろしくね」
「よろしく」
教室では、あの感じの悪いオールって人のせいで嫌な気分だったけど、一緒の部屋の子がこんなにいい人たちでよかった。これからの学校生活にもなじめそうな気がした。
(夜になったら、さっそく父さまに手紙を書こう)
カリナは自分の机を撫でた。
(フルラは見るからに可愛くて、マレはいざというとき頼りになる、二人とも最高のルームメイトだよって書くんだ)
こうして、カリナはフルラとマレと友達になった。はじめての、女の子の友達だった。
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