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たしか小学校の低学年くらいのことだったでしょうか。クリスマスに向けて飾り付けられた教室で、給食の時間に、あわてんぼうのサンタクロース、がラジカセから流れる12月の中頃だった記憶があります。例年よりも早めの雪がグラウンドを覆う、とても寒い日に、担任の先生がそんなことを言ったのです。
まだ私がサンタさんの存在を一切の疑いなく信じていた頃の話です。
毎年、クリスマスイブが明けて友達と会うと、周りの友達はいま一番欲しい物を手に入れた、と嬉しそうな顔をしていました。その顔こそがサンタさんの思う夢と希望に繋がるのだろう。当時はここまではっきりと言葉にして考えてはいませんでしたが、ぼんやりとこんなふうなことを考えていました。
でも私は、みんなと同じような喜びの表情を、顔に浮かべることができずにいました。
私の一番欲しかったものを、サンタさんはいつまで経っても運んできてはくれませんでしたから。
私はサンタさんをかたくなに信じるような子どもで、クリスマスイブに向かって、毎年決まって同じものを願っていました。願う、というよりは、祈る、に近いかもしれません。だから、悔しい、というか、哀しい、というか……。そんな気持ちも大きかったです。
もちろんいまとなってはそんな祈りが届くわけがないことを私自身が一番よく分かっています。
現実を知り、祈りが届くわけもないことに気付いた私は、誰かに頼ることなく自分の手でそれを掴み取ろうと決意しました。静かに待っているだけでは得られない。一歩踏み出した先にしか、私の望む夢と希望はないようなものだったので。
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