運命の相手って何?

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 終わった? これで加瀬さんと終わらせられたのだろうか?  まだ確信が持てないまま、一旦立って沙耶さんに頭を下げる。 「沙耶さん、ありがとうございました。おかげで助かりましたけど、情けないですね、私。いい歳して綺麗に別れることもできないなんて」 「一方が別れたくないって思ってたら、円満に別れるなんて無理よ」  沙耶さんが加瀬さんの座っていた席に腰を下ろしたので、私も座り直して頷いた。  加瀬さんは私宛ての手紙を平気で握り潰してしまう人なのだから、一筋縄ではいかない気がする。  コーヒーショップの店員が気を利かせて、沙耶さんがいたテーブルから彼女の飲みかけのカップを運んできてくれたのでお代わりを追加注文した。  沙耶さんが協力を申し出てくれなかったら、今頃は口達者な加瀬さんに丸め込まれていたことだろう。  本当に沙耶さんには、いくらお礼を言っても足りない。 「自分一人で何とかしようとする夏美さんの姿勢は立派だけど、時には誰かの手を借りることも大事だと思う。『別れてやる』なんて言っても、尚人は上司だから毎日顔を合わせなきゃいけないんでしょ? 無理やり何かされそうになるかもしれないから、同僚を味方につけて助けてもらわないとね」  優しく微笑む沙耶さんは、まるでお姉さんのように親身になってくれている。 「『無理やり』なんて考えたくもないですけど、危機感を持って自衛するしかないですよね」  今夜も加瀬さんとの話し合いは、すべてスマホで録音しておいた。  もしも後々、「沢渡さんの方が別れを承諾しないでストーカー化した」などと変な言いがかりをつけられたとしても、これが反証になるはずだ。
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