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「や」ばい授かりもの
仕事が終わっていつも乗っているバスで帰路に就く。特に変わったこともなく一日が終わろうとしていた。家に帰ったら、あとは飯を食って寝るだけ。「ふぁ~あ」と欠伸をする。やがて最寄りのバス停に到着し、バスを降りた。信号が青に変わると、颯爽とそこを渡って行く歩行者。その中に赤いリュックを背負ったあのおばあさんがいた。また荷物を片手に持っている。のろのろと歩くそのおばあさんをすぐに追い越して俺は家路を急ぐ。さっさと家に帰って休みたかった。
「お前馬鹿だろ?」
誰かの声が聴こえて俺は背後を見た。
後ろのほうから歩いて来るパンツスーツ姿の女の人がいたが、
「なんですか?」と不快そうに睨まれた。
気のせいか? 首を傾げてまた歩き出すと
「お前のようなやつは……」
え?
また声がして、俺は素早く背後を振り返ろうとした。が
途端、ドーンと肩に何かがのしかかってきた。
「うぎょっ!??」と俺は情けない声を上げて、ガクンと前のめりになる。
な、んだこの重み……
手に額に冷汗が滲んでいく。
「それでも担いどけ!」
また謎の声が言った。
さっきから誰なんだよ? それになんだ、このずっしりした重み?
まるで“鉄の棒”でも背負わされているような。
かっ、肩が……腕がっっ!?
――それからなぞの肩こりが始まった。
湿布を貼っても治らず、会社帰りに病院へ寄って診てもらうが、原因不明だったので血液検査、尿検査、レントゲンも撮ることに。
しかしどれも異常なしだった。数値は…
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