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「り」が付くものが?・・・
診察室に戻ると先程の医師がレントゲンを見て首を傾げ「う~ん」と唸っていた。
え、何かやばいものでも写ってたとか? と俺は不安になる。
「どうかしたんですか?」
「数値はどれも問題ありません。健康です」
「よかったぁ~」と言いたいところだったが、その後の医師の言動が俺を不安にさせた。
「少し気になるものが写ってまして……」
医師は「これを見てください」と一枚のレントゲンをオレに見せた。
「これって……」
それを見た俺は困惑した。何を見せられているのかわからなくなる。上半身を撮影したレントゲンに、体の構造にはないはずの謎の物体が映っていた。
何か別の物が写り込んでしまったらしいが、追加料金は取られないということで俺はすぐに同意して
「撮り直しましょう」ということになった。
「う~~ん」
診察室に戻るとさっきの医師がレントゲンを見てまた唸っていた。俺はまた不安になる。
医師がまだ納得いかない様子で、渋々そのレントゲンを俺に見せた。
「なんなんですかこれは?」
何かが俺の肩に乗っかっている。なんだこれ恐い!?
恐る恐る俺が尋ねると医師は言った。
「槍、ですかね」
「え、槍? ってあの槍」
「あの槍に見えますね」
「なんでそんなものが?」
「さあ、わかりません。なぜそんなものが写り込んだのか」
それから医師はこう続けた。
「これは医者の領域外かもしれません」
「というと?」
「“目には見えないもの”が写っているようなので」
「……」
「見えないものでは手の施しようがありません」
「そんな、じゃあどうすればいいんですか?」
「申し訳ありませんが、これ以上は……」
――医師は匙を投げ、男は一生“重い槍”を背負わされる人生を過ごしましたとさ。
お し ま い。
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