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「はあ……」
「仕事中だぞ。颯真」
「すみません……」
ため息を吐くと、すかさずマネージャーが注意をしてくる。
「今日の仕事はこれで終わりだが、帰る前に二人で事務所に顔を出してくれ」
「何かあるんですか?」
改めてマネージャーに呼ばれるなど、滅多にない。何かあるのだろうか。
「ファンレターとプレゼントが届いている。プレゼントは主に光にだけどな。
今日は車で来ているんだろう。丁度いいから、持って帰れ」
「はい……」
結局、荷運びがメインか。
父から車をもらってから、こういった雑用が増えた気がする。
溜め息を吐きたくなったが、目を光らせるマネージャーを前に、そっと息を吐くだけに留めたのだった。
撮影を終えた二人がロッカールームで着替えて事務所に向かうと、「あっ、来た!」と女性社員に囁かれる。
「光君、こっちこっち! 颯真君もおいで!」
女性社員に呼ばれて向かうと、奥の会議テーブルの上に白いケーキの箱が置いてあった。
「あっ、ケーキだ!」
「今日はクリスマスイブでしょ。光くんの誕生日も兼ねてケーキを用意したの。よければ食べていって」
「いいんですか!? ありがとうございます!」
「世界的に有名なパティシエ監修の人気ケーキ店のケーキよ。何ヶ月も前から予約してたんだから!」
胸を張る女性社員に「ありがとうございます!」と礼を述べると、水月は早速箱を開ける。
「どれにしようかな。迷うな〜」
何種類かあるケーキを前に悩む水月に対して、颯真は男性社員に声を掛けられる。
「これ、二人のファンレター。中身を確認して、問題が無いものだけ入れたから」
男性社員が持っている紙袋には、それぞれどちらに宛てたものかわかるように、名前が書かれた付箋が貼られていた。
ファンレターの中には、二人への誹謗中傷が書かれた物もあり、そうしたものは二人のモチベーションに関わるからと、あらかじめ社員が中身を確認して、いつも問題が無いものだけを渡されていた。
「ありがとうございます。すみません」
紙袋を預かると、男性社員は「後はこれも」とデスク上の大きな段ボール箱を示す。
「光君宛ての誕生日プレゼント。さすがに食品と電子機器系は抜いたから。それでもこの量だよ。人気は凄いね」
段ボール箱から覗いていたのは、大量のショップ袋やラッピング袋だった。サイズも大きなものから小さなものまであった。
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