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純一が、車から降りると、頭を下げている女性がいた。女性は、顔を上げ挨拶をする。
「はじめまして、常務の専属秘書をさせていただく眉村早希と申します。
渉外担当という肩書きですが、常務には、パソコンに随時入ってくるネットワーク関連事業についてのアドバイスをお願いします。
常務のご専門とお聞きしています。
渉外のお仕事は私がしますので、空いた時間は、ご自分の時間をお楽しみください。」
純一は、即座に質問をする。
「早希さんとお呼びしてよろしいでしょうか。」
早希は、一瞬、フクロウのように丸い目をした。
純一は、女性と接する時に、いつでもどこでも名前で呼んでいる。
妻の麻由の母親を名前呼びにした時には驚かれたが、今では、純一と話しているだけで若返った気分になると乙女のような顔を彼に見せる。
早希は、顔を元の無表情に戻し無言で首を縦に振った。無表情の美人は、まるで人形のように美しい。純一はそう思った。
純一は、エレベーターで会社の上層階にある重役室に案内される。ドアのネームプレートに春日純一常務取締役とある。
早希は、言葉通りに黙々とパソコンで仕事を始める。
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