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皿のクッキーに手を出したい衝動を抑えながらポットとクッキーをトレーに乗せて、おじさんが待つリビングに持っていく。
「おじさん、クッキーどうぞ。」
空いたカップに新しいお茶を注いだ私は、着席と同時にクッキーに手を伸ばす。
温かいクッキーは、香りを口いっぱいに広がり、サクッと香ばしい味が、味覚の全てを支配する。
「ん~おいしい~。」
もちろん、モカにも同時に食べさせて、二人で美味しさを噛み締め合っていた。
「です~。」
もちろん、おじさんとおばさんが子供を見る目で私達を見ていたのは仕方がなく、それでも遠慮する事はせず、私は次のクッキーに手を伸ばして口に放り込む。
「焼きたてクッキー、食べたって言ったらティオに怒られそう。」
私は3個目を、すでに口に運んでいた。
お腹一杯になった私は、モカと二人で日差しで暖かくなっていたリビングの隣の部屋で寛いでいたら、寝てしまっていた。
リナの部屋のソファに私は静かに座ったけど、リナを起こしてしまった。
「もう、夜なの?」
ベットから起きたリナに、
「ううん、今はおじさんの家で昼寝してしまった。」
リナの笑い声が小さく聞こえる。
「もうすぐ、馬車の迎えが来る時間かな。」
「そっか、皆、元気だといいわね。」
私は、「うん。」と返事をして、リナのベットに潜り込む。
「せっかくだし、ちょっと寝る。」
リナの笑いがまた小さく聞こえる中、私は心地良い眠りに落ちていった。
「なおちゃん、なおちゃん。馬車が来ましたよ。」
おばさんの声で私は目を覚まし、隣に寝ているモカを起こす。
リビングから大きな笑い声が聞こえてきたので、私は少し緊張しながら顔を出すと、筋肉隆々で大柄の男性がおじさんと会話しているのが見えた。
私は記憶を辿り、ルミナさんのお兄さんで、騎士団の団長をしているイガルさんだと思い出す。
「こんにちわ、イガル伯父様。」
振り向いたイガルさんは私を見ると笑顔で、
「おう、待たせたな。お袋から護衛役を頼まれてな。ロレンとも、めっきり会うことが無かったから、騒いでしまったようだ。すまんすまん。」
イガルさんには私が本当の姪だと言う事はまだ伝えていない。理由は、口を滑らすからだと、お母さんもお祖母ちゃんも揃って笑いながら言っていた。
でも、お祖母ちゃんと異世界で暮らしているのは知っているので、私は「イガル伯父様」と呼んでいる。
「いえ、寝てしまったのは私ですし、すぐ準備します。」
そう言ってから私は、改めて言い直す。
「すみません、少し時間かかりそうなので少し待ってて下さい。」
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