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『おかりなさい』と、かけられた言葉が、凄く嬉しかった。
「ただいま。」
キャリーケースとカバンをハレさんに渡した伯父様は、私達に手を振って騎士団専用の建物がある方に歩いていく。
「伯父様ありがとうー!」
見えなくなるまで伯父様を見送った私は、城の中庭から城の最上部にある自室になった部屋に入る。
ハレさんがソファの横に置いたキャリーケースを私は手に取って、
「お祖母ちゃんにこの荷物を渡したいんだけど、今どこに居るか判りますか?」
「シェラ様は、自室においでになります。」
「じゃあ、今から持って行こうかな。到着した事も自分から伝えたいし。」
「はい。では私がお荷物をお預かりします。」
私はハレさんとお祖母ちゃんの部屋に行き、キャリーケースだけを渡して部屋に戻った。
「ハレさん、空のティーポットにカップを4個。それとは別に熱いお湯をお願い出来ませんか? それと小皿も4つで。」
ハレさんは少し考えているようで、
「はい。少しお待ちください。お湯はポットでの使用で宜しいでしょうか?」
私は「はい、そうです。」と答え、ハレさんとミレさんが部屋から出るのを見届け、ベットの上にカバンの中身を広げた。
「モカ、どれにしようか。ハレさんとミレさんに食べてもらうお菓子選ぶわよ。」
二人が戻ってくるまでに決めないとだから、バサッと広げたお菓子から一つを選ぶ。
「僕は、お饅頭か羊羹がいいです。」
「ああ~羊羹か。良いかも。確か一個ずつのやつが…あった!」
コンビニの贈答品棚にあった羊羹セットの箱と、緑茶の粉(抹茶入り)を、テーブルの上に置いて、あとはカバンの中に急いで片付ける。
「これで、準備できたね。」
ソファに座って待っていると、少ししてから二人がワゴンを持って部屋に戻ってきた。
「お待たせしました。これで宜しいでしょうか?」
ソファの横まで押してきたワゴンを私は確認して、
「うん。大丈夫です。それじゃあ、ハレさんとミレさんはソファに座って下さい。」
「いえ、私どもは、」
私は予想していたハレさんの言葉を遮り、
「今は私が、もてなしたいと思っているので付き合ってくださいね。」
ソファに座る二人を待って、私は緑茶の粉とポットのお湯でお茶を作りソファに座る。
それからテーブルに置いてあった箱を開けて、一つ一つ包装されている羊羹を小皿に移してカップの横に置く。
「私の住んでいる国の甘いお菓子です。羊羹っていいます。それと緑茶、これも日本だけのお茶なの。」
私は付属で付いていた竹楊枝を使って、食べ方を見せる。
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