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「なお、大切な物を返しますね。」
お母さんはそう言って、クローゼットから『ミレナの加護』が入った宝印石のネックレスを取り出す。
「そうだ。お母さんから預かった大切なこれ、ずっと付けてたよ。」
私は銀のネックレスを服の中から取り出す。
お母さんは嬉しそうに頷いて、
「ありがとう。それじゃ、また戻る時まで交換しましょう。」
『ミレナの加護』をお母さんの手で付け直してもらい、私は銀のネックレスを渡す。
「色々と話をしたいのですが、ティオも待っていると思いますし食事の席でしましょう。」
「はい。戻ってベットで寝ているモカを連れていきます。」
モカを連れて食事部屋に入ると私達以外は席に着いていたので、私とモカは一礼をしてティオの隣の席に座る。
お母さんの合図で料理長と執事が食事を並べる。もちろんモカの分もちゃんとある。
久しぶりの食事は楽しく、離れていた時間を埋めるように私は戻ってからの話を沢山話した。
食後のティータイムになって、ティオが待ち侘びていた話題を切り出す。
「お祖母様、封印師の課題覚えました。」
「じゃあ、明日見せて貰おうかい。そうだね、明日一日はティオの指導をすることにするかね。」
「はい。お願いします。」
ティオの嬉しさが私にも伝わる。
「ティオ、頑張ってね。それじゃあ、私は明日なにをしようかな…」
ティオの邪魔になりそうだし、お母さんも忙しいだろうし、観光するにしても、さっぱりだし…
「あぁ~ミリアはどうしてるんだろう。」
「ミリアさんなら、北都で修行中よ。」
ティオの答えに続いて、お母さんが
「太陽の姫巫女のイフォリエさんと一緒に、金竜ギエル様の所で光魔法の修練をしていますよ。」
ミリアが光の精獣フィールとの契約で髪の色も目の色も変わってしまった姿を思い出す。
「じゃあ、無理か~」
自分から会いに行けないのがもどかしく、諦めの呟きを溢す。
「ミリアさんには、私から連絡しますね。」
「お母さん、ありがとう。」
話が途切れた数秒後に、お母さんの少し王妃の質が混じったような言葉で、
「リナさんに少し、訊ねたい事があるのですが。」
大事な話がある事を感じた私は、返事を返す前に、リナを呼んでいた。
《なに?どうしたの?》
隣にリナの意識を感じた私は、
「はい。今、リナを呼びました。入れ替わった方がいいですか?」
「そうですね。直接訊ねたほうが良いですね。」
(って事なので、リナ代わってくれる。)
私とリナの意識が入れ替わり、髪と瞳が銀色に替わる。
「ルミナさん、どうかしましたか?」
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