第1話 あたしの特異なことってなに?

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 最初は気付かなかったんだけど、ちょうどぴったりのサイズのランチョンマットがあったからそれに乗せておいたはずなのに、朝起きて見てみたらランチョンマットからヴェネチアングラスの端がどっぷりはみ出していたの、お父さんのズボンからはみ出たおなかのお肉みたいに。  しかも机に根をはったみたいに押しても引いてもびくともしなくなってた。それでも中の金魚も大きくなっていたからあたしはまぁいいかって昨日もミネラルウォーターを入れてベッドに入ったんだけど、昨日は夢を見たの。  ごつごつしたフジツボみたいなおじさんが夜の女王様がつけてる蝶型のあやしげな仮面(マスク)をつけて、ミネラルウォーターを飲みながらゴーレムみたいな手であたしの頭をなでるの。  なでられる度に髪ががさがさしちゃって、だんだん白髪になって、あたしおばあちゃんみたいになっちゃって「もうやめて!」って叫んだ拍子に目が覚めたんだけど、今朝、鏡を見てびっくり。  あたしの黒くてまだ艶のある髪の中に、白い髪の束が混じっていたの。  最初は暗闇を滑る一筋の滝みたいで綺麗かも、って思ったんたけど、よく考えてみたらこれって大変なことだよね。とりあえずマッキーで塗ってみたんだけど、大丈夫かなぁ。 「ひかりん、問四の空欄はカタカナ四文字で埋めなさいって書いてあるけれどね、残念ながらフジツボもゴーレムもマッキーも入らないの、真面目にやりなさい、脱がして愛でるわよ」 「ふぇ!?」
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