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目が覚めると、そこは闇だった。点々と光るのは星か、それともヘルメットの塵だろうか。
起き上がろうとすると頭に鈍痛が走る。どうも気絶していたらしい。
ああ思い出してきた。僕はずっと待っているんだ。
宇宙の果ての、この小惑星で。
でこぼこした岩に座り、ため息を吐く。船が壊れて、帰れない。
地球が青い点にしか見えない。あんなとこから来たのかと、感慨にふける。
ふけるしかできない。
残された空気もわずか。息が苦しい。家族に電話も、遺書さえ残せず、ただ呆然と、真っ暗な闇と、灰色の砂漠を見つめるしかできない。
そのとき、ふと見つけた、足跡。
まさか……来たのか……助けが。
思わず僕は立ち上がり、足跡を追う。小さい重力の小惑星から飛び出さない程度に、ゆっくりと、でも急いで。
しばらく進んだ後だった。
見えた……宇宙船だ。
僕は船に近づく。
そして、気づいた。
ああ、これ、僕の船じゃないか。
寂寥に思わず倒れ込む。仰向けになって、闇を見上げた。
美しかった天の川も、今では塵のように濁って見える。
目を閉じても闇。もう起きてても寝ていても変わらない。
僕は眠る。ひとり、誰にも会えないこの小惑星で。
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