やっぱり……。  3.結ぶ雨

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「……言う気になった?」  そう思ったとき。  唇を離した松尾が色気を含む声のトーンでそう言った。 「まだ言わないなら、  このまま続けるよ」  少しだけイジワルな色を含んだ松尾の瞳。  だけど。  その中にも。  やさしさが見える。  ……ずるい。  ずるいよ、松尾。  そんな言い方。  そんな表情……。  こんなことをされたら。  ……言わないわけにはいかない……じゃない。  自分の気持ち。  そうじゃないと思っていた。  だけど。  本当はそうじゃないわけではなくて。  心の奥底に眠っていた。  自分の本当の気持ち。  それを本人に伝えること。  そのことが。  すごく、ものすごく恥ずかしい。  だけど。  心のどこかでは。  伝えたいという気持ちがあるのも確かで。  そうじゃないと。  後悔してしまうから。  あのときのように。  高校三年生のあの日。  松尾から想いを打ち明けられたのに。  自分の本当の気持ちを打ち明けることができなかった。  そのことを。  ずっと。  ずっとずっと後悔していた。  今回も同じことをしてしまったら。  また同じことで苦しむことになる。  私自身もそうだけど。  それよりもなによりも。  松尾のことを傷付けてしまうということ。  もう傷付けたくない。  松尾のこと。  そして……。  私も……。  傷付きたくない。  だから……。
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