やっぱり……。  3.結ぶ雨

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「好きだよ、遥稀」 「好き、松尾」 「聖志(さとし)」 「え……」 「『聖志』って呼んで」  下の名前、で呼ぶ。  松尾のことを……。  それは……。  恥ずかしい。  今まで呼んだことがない。  松尾のことを下の名前でなんて。  だから。 「……また今度……」  そう言ってみた。 「ダメ。  今、呼んで」  だけど。  やっぱり、そういうわけにはいかないみたいで。 「呼んでくれないと……」  松尾はそう言うと。  呼吸ができないくらいの激しいキスを……。  ……ダメ……。  これ以上、続けると……。 「……呼ぶ気になった?」  ほんの少しだけ唇を離した松尾が甘い声のトーンでそう言った。  酸素不足になった私は、ほんの少しの隙間から必死に酸素を取り入れた。 「……イジワル……」  呼吸を乱しながらそう言うと。 「どーも」  松尾はイジワルな笑みを浮かべてそう言った。  ……仕方がない。  こうなったら……。
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