私を殺したのは誰?

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私を殺したのは誰?

 事務所の休みの日、コンビニで大好きな大福餅を買い事務所に戻る途中、  足あとが、またすがる様に私に寄って来る。 「私に何か御用でも?丁度、事務所に帰る途中なので、事務所までいらっしゃい」  と私が話しかけながら歩くと、足あとはついてくる。  1人で路面に語りかけている私に周囲の人は怪訝な顔をして通り過ぎていく。  3階建ビルの2階に私の事務所兼住居がある。  鍵穴に鍵を差し込んでドアを開け中に入ると足あともそのままついてくる。 「葉桜先生、お帰りなさい、大好物の大福は買えましたか?」  と留守番をしていた柴犬の姫都美が、尾っぽを振りながら寄って来る。 「姫都美、あなたの分もあるわよ」  と床の上に置かれた姫都美専用の皿に大福を置いてやると、  尾っぽを振りながら美味しそうに姫都美がペロリとたいらげる。  足あとに向かって、 「さぁ、姿を見せて頂戴」  と優しく語りかける。  と霊が青白く光る人型となって現れる。 「そこのテーブルの椅子に座って、話を聞くから」  私もテーブルの椅子に座り、大福を食べ始める。 「私は山野葉桜と言います、あなたのお話を聞きましょう、まずお名前から教えてくれますか?」  霊が話し始める。 「私の名前は、高梨萌霧(たかなしめぐむ)と言います、エステサロンに勤めていました」 「1週間前の夜ベッドで寝ていると、突然息苦しくなり目が覚めました。  恐ろしい事に、腹の上にまたがった青白く光る人型をした発行体が私の首を絞めていました。  物凄い力で首を締め続けられ、私は抵抗する間もなく事切れてしまいました」 「私が殺された理由と誰に殺されたのか、突き止めて欲しいのです」 「萌霧さんを恨んでいる人に心当たりが在りますか?」  と私が質問を萌霧に投げかける。 「私は、親兄弟、親戚、知人もいない天涯孤独の身、マンションに一人暮らしで、人に恨まれる覚えがありません」 「霊体となった私は、警察の捜査をずっと見ていたのですが、警察の見解は『第1点として部屋はドアも窓も全部内部から施錠されており外部からの侵入の痕跡が見られない。第2点として周囲の人への徹底した聞き込みにもかかわらず、痴情のもつれによる怨恨や金銭トラブル、人間関係にまつわるトラブル等が浮かび上がらない。第3点として私の遺体には、首を紐状の物で締められた痕である索状紺や抵抗した際に出来る吉川線、手による圧迫痕も無い。第4点として警察顧問医の診断結果が就寝中の心臓麻痺による病死である等の理由により私の死因は病死である』と結論付けられ捜査を終了されてしまいました」 「勿論この捜査の結論に異議を申し立てる人は誰もいません」 「萌霧さん、首を絞められた痕は全く無かったのですね、通常は出来るのに不思議ですね?分かりました、私にお任せ下さい」  私は、直接死神に萌霧の死因に聞いてみることにした。   「明日、死神にあなたの本来の余命と死因について聞いてみるから、あなたの死の真相と犯人が分かるまで、ここに居て結構よ」  と萌霧さんに笑いかける。  死神は、人の死を司る神である。  私と死神とは度々助けあってきた親友である。  姫都美の件では、私は死神に借りがあるし、死んで霊界に行くのを嫌がって逃亡をする霊体を、私が見つけてやっては死神に引き渡したりもしている。
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