数限りなくこなした仕事

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数限りなくこなした仕事

 それから一週間ほど経ったあと、僕の家に見知らぬ一家がやって来る。父親の腕には包帯。息子の額にはガーゼと絆創膏がいくつも貼り付けられ、無傷の母親が寄り添う娘は松葉杖をついている。  そんな一家とともにやって来たのは弁護士と保険屋。弁護士は仕立ての良いスーツに、いかにも頭が切れそうな顔。保険屋はヨレヨレのスーツだが、それがかえって数限りなくこなした仕事を物語る。 「いったい、あなたたちは誰なんです? 一家そろって弁護士まで連れて来て」  僕がそうたずねると、顔も腕も見事に日焼けしている父親が、怒りを込めた表情でシャツをまくり上げる。腕や体に包帯が巻き付けられている。特に胸の下から腹の上にかけては厳重に。 「お前が海に流したテレビのせいで、肋骨を骨折したんだ! この腕や足の切り傷もみんなあんたが捨てたテレビにやられた跡だ! このケガのせいで、漁に出られなかったんだよ! せっかく漁にうってつけの季節だってのに!」  父親が怒りのこもった大きな声で一気にまくしたてる。 「ええっ!?」
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