4人が本棚に入れています
本棚に追加
ニーナ、孤児院を出ることを検討する
「この子を宜しく頼みます。名前はーー」
◇◇◇◇◇
私はニーナ。ニーナ・フェルナ。孤児で洗礼名は無い。一般的には幼少に教会で洗礼を受けて洗礼名を頂く。だけど孤児には名字すら無い人も多い。引き取り先の名字を名乗るか、孤児院の名字を名乗るか選択できる。だけど私は生まれたときから名字があったみたい。
孤児院は16歳で出なきゃいけない。だから来年には職を見つけなきゃ。孤児でもなれるのは冒険者、商人みたいに各地を旅するようなものだ。
「なあ、ニーナ、来年ここを出るんだろ?一緒に冒険者にならないか?パーティー組もうぜ!」
紹介が遅れたね。彼はエルス。私と同じ15歳。
「私以外にもいるでしょ。別の人にしないの?」
「ニーナだけなんだぞ?魔法の素質があってまともに使えるのは。」
私は魔法が使える。使えると言っても生活魔法と簡単な防御、治癒だけだが。
「だからなんなの?ここだと私だけ。ただそれだけ。ここ以外だとたくさんいるよ?」
「そうだけどさ、やっぱり知ってる人の方がいいじゃん。」
「私はソロがいい。パーティーなんて組まない。」
「そう言わずにさ……」
「エルス、ニーナが嫌だって言ってるんだからそこまでにしておきなさい。」
「マ、マザー、でも……」
「マザー、少し早いけど来月ここを出ます。冒険者になるために組合にいく。」
「そう、わかったわ。」
なんかマザーが少し寂しそうに見えたのは気のせい……だろう……おそらく。
最初のコメントを投稿しよう!