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死ねない
俺を助けようとして、彼女は辱めを受けて、自殺した。自殺した直接の原因は、東吾達のせいだ。しかし、俺は、助けることが、できたはずなのに、逃げてしまった。
彼女はレイプされた後、そのまま家に逃げ帰ったらしい。レイプ現場を撮影され、次の日も、体育館の倉庫に来る様に、脅され、彼女は、体育館の倉庫に現れず、自殺したらしい。
俺は、直接、その話しを、東吾から聞かされた。お前も、仲間だから、裏切らないようにと、脅迫してきたのである。俺は逆らえず、決して何も言わないと約束したが、東吾は、俺を、いつもの様に全裸にして、撮影を始めた。
「お前も、あいつみたいに、屈辱的なとこを撮影しとかないとな。裏切られたら、困るからな」
そう言うと、龍弥は、俺に、自慰行為をするように命じた。あの子が、レイプされた映像を見ながら・・・
俺は、逆らえず、言われるままに、自慰行為をした。東吾達が、大爆笑する。俺を助けようとした、女の子のレイプ動画を見ながら、自慰行為をする俺が、おかしくたまらないらしい。
「お前、ほんとおもろいやつだな。まさか、ホントにするとは、おもわなかったぜ。こんなおもろい動画は、クラスのみんなにも、見せてやらないとな」
「やめてくれ」
「はあー、俺がお前を、面白くプロデュースして、やってるのがわからないのか。今後も、もっと面白い企画を、俺がしてやるぜ」
「さすが、東吾だな。こんな面白いことを、思いつくなんて、芸人になった方がいいと思うぜ」
「そうだな。でも、今の時代なら、YouTuberかな」
「東吾なら、今すぐにでも、なれるぜ」
俺は、これからずっと、こいつらの、おもちゃとして、生きていくのか・・・俺のせいで、あの子も死んだ。俺も同じように、ここから飛び降りて、死のう・・・遺書を残して。
死んでからなら、もう仕返しも怖くはない。俺の最後の悪あがきで、あいつの悪事をバラしてやる。
俺は、覚悟を決めて、校舎から飛び降りた。思ったほど恐怖はなかった。死ぬ勇気があるなら、相手を殺せという人もいるだろう。しかし、実際に、それをできるくらいなら、いじめられることはない。そして、死より恐ろしいくて、辛いのが現実だから、死へ恐怖より、安堵のが大きい。やっと楽になれるかと思うと。
「あいつ、マジで飛び降りたぜ。ちゃんと撮影したか」
「ああ。ばっちり撮れてるぜ。東吾の言った通りだな」
「だから言っただろ、俺があいつをプロデュースしていると」
「お前は、神だぜ」
「あいつ、遺書を残しているはずだ、探し出せ。そして、この遺書と交換しとけ。これで、あの女の自殺も、あいつのせいにできるぜ」
「やっぱり、お前は神だぜ」
「ああ。俺は神だぜ。なんでも、俺の思うままだぜ」
俺は校舎から飛び降りた。最後に奴らに復讐して・・・
俺は死んでないのか。それとも死後の世界なのか。俺の周りは、血が水溜りのように、広がっている。これは、俺の血なのか。そういえば、体が思うように、動かない。
よく体を見てみると、腕や、足が歪なくらいに、折れ曲がっていて、肘や、膝から、骨が剥き出しに、なっている。顔も、片方の目玉が、飛び出して、転がったいて、頭部から飛び出したのか、脳が頭から、垂れ下がっている。
身体中から、激痛が襲い、声を出そうにも、喉には、折れて飛び散った、肋骨の骨が突き刺さっていて、悲鳴すら上げれない。ただ、無限に広がる苦痛に悶え、俺は、意識を失ってしまった。
意識を失って、どれくらい経ったのだろうか、再び目を覚ました時には、折れ曲がっていた、腕が元に戻っていた。しかし、足は、まだ折れ曲がっていて、骨が突き出している。上半身は、元に戻っているみたいだ。しかし、下半身は、いまだに、グチャグチャの状態で、激しい痛みが、体を襲う。
「ここは、どこだ。俺は、校舎から飛び降りたはずなのに、見覚えのない、古屋にいるみたいだ。なぜ小屋なのだ・・普通なら、病院に搬送されているはずなのに・・・。訳がわからない。さっき目が覚めた時は、全身がグチャグチャに潰れていたはずなのに、次に起きたら、上半身は治っている。誰かが治療してくれたのか、いやそれは、ないだろう。それなら、俺は、まだ治療してもらえているはずだ。信じられないが、自己再生しているみたいだ」
何か、頭の中に話しかける声が、聞こえる。
「早く、血を飲みなさい。あなたは、致死量の血が流れています。流れ落ちた血を、体に取り入れないと、再生のスピードは遅くなるばかりです。治りが遅いと、苦痛の時間が伸びるだけです」
俺にはわかる。この声の主は、俺の体の細胞の声に違いない。俺の血の水溜りは、小屋の床敷き物の上で固まっている。俺は、下半身の、激しい苦痛から、逃れるために、まずは、敷物の表面に固まった血の塊を剥ぎ取って、口の中に放り込む。塩味の砂を食べている感じだったが、食べれないことはない。次は残りの血がついた敷物ごと、食べることにした。
敷物なんて、食べてれたものではない。なぜか周りにおちていた、小さなナイフで、敷物を切り刻み、少しでも食べやすくして、無理やり口の中に、入れた。激しい嘔吐が俺を襲う。無理して口に入れた敷物を、全て吐き出してしまった。
下半身の激しい痛みが、止まらない。この苦痛から逃れるために、吐き出した敷物をさらに口に入れる。よく見ると、近くには、水とはいえない、排水の様な、茶色の液体がバケツに入っていた。
「これで、流し込めと言うことか。ここはゲームの世界なのか。俺が、前に進めるように、準備されているみたいだ」
下半身の痛みに比べたら、敷物を、排水で飲み込むことは、容易いことだった。1時間くらいかけて、やっと全ての敷物に染み付いた血を、体に回収することができた。下半身の再生も先程に比べたら、かなり早くなっているみたいだ。
数時間後、俺の体は元に戻った。そして、やっと激しい苦痛がおさまった。
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