イブサンローラン

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1960年、フランス アルジェリアが独立を求めてフランスと戦小競り合いをおこしていた。フランス軍は優勢だったが、アルジェリアも必死であり戦争は長期化していた。 一方1950年ヨーロッパ 経済が急成長し、民衆は華の都パリへいこうとどんどん押し掛けてきていた。パリの地価は高騰し郊外の町に人が溢れた。パリは魅力的な町だった。 周りに合わせない。私は私。私がいいと思った物を着る。いまでこそ日本人からみたパリジェンヌのイメージはこうだが、でもやはり人間は所詮流行に左右される。パリはファッションの発信地、流行の最先端をいく都でありそれは現代でも変わらない。 赤いバラの花束をかかえ、サンローランは男友達に求愛した。若かりし頃である。結果は見事な玉砕。散り散りになった紅の花びらが虚しく石畳の道路に枚散る。サンローランの心の傷はこの時から一生癒えることがなかった。サンローランの瞳の奥にはいつも暗い陰が宿るのだ。
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