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マリーの旦那はいびきが凄かった。マリーは、男とはそういうものだと思っていた。だから、サンローランが静かに、波音を一切たてずに落ちたのに気づかなかったのだ。サンローランはカウチに横たわりものの数秒で眠りにおちた。マリーはそうとはしらず声をかけた。
夕飯できたわよ。ビーフシチュー特製よ
返事がない。あれ、と思い様子を伺いにいくと死んだように眠りこけるサンローランがいた。
あらあら。
マリーは呆れた。
連日の疲れがたまっていたのだ。サンローランに悪気はない。マリーはなぜか少し淋しくなり、サンローランのひたいに軽くキスをしようと顔を近づけた、とたん、サンローランは無意識でマリーを払いのけた。眠っていた。だが、女性への警戒心が無意識の領域を支配していた。マリーははっとした。何をしようとしてしまったのかと恥じた。そして毛布をかけてあげると一人寂しく夕飯を食べた。
朝がきた。マリーが、少々他人行儀になっているとサンローランは思った。何があったかはさっぱり覚えていなかった。そして鍵を手にいれると、深く感謝の言葉をのべ、自分の部屋にかえっていった。
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