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7.5話
ある日の休み時間。
ネグ、レタ、ルンの三人はネグの机の周りに集まって仲良くお話をしていました。
もうすぐ定期テスト。教室のあちこちから、成績上位者への<ご褒美>の話が聞こえてきます。
「今回の成績上位記念リボン、めちゃくちゃかわいくない?」
「見た!チョコレートみたいなつやつやのリボン!バレンタイン近いからかなあ、ほんと素敵…!」
「だよね!欲しいから勉強頑張ろっかな〜」
<リボン>とは。
この学園唯一の娯楽、シュクルメリアルームを装飾できるアイテム。
蓋の中央に装着するUSBメモリのようになっていて、育てられるドールや与えられる角砂糖が増えるものです。
購買で販売しているものもあれば、テスト成績上位者など、限られた生徒にのみ配られるリボンもあります。
三人も例外なく、そのリボンの話をしていました。
「アタシ、今回のリボン欲しいんだよね〜!すっごいかわいい」
「る、ルンもっ」
「でも競争率たかそ〜……みんなお菓子モチーフ好きだよね〜」
「ね、おいしそうなの素敵だもんね……」
「……じゃあ」
きゃっきゃとおしゃべりするレタとルンに、ネグがにっこりと微笑みました。
「三人で勉強会、しようか」
- - - - - - - - -▷◁.。
「おじゃましま〜す!」
「お、おじゃましますっ…!」
休日。
三人はネグの部屋に集まっていました。
「こ、これ、お姉様にいただいたクッキー、みんなで食べよ、」
「あ!アタシもお姉様にもらったマカロン持ってくる〜!!」
ルンが手土産にお菓子を差し出しました。以前のお出かけでお姉様たちが購入していたお土産のお菓子のようです。
それを見たレタも自室にお菓子を取りに走っていきました。
「ありがとう。……私も、フィナンシェをいただいたから……三人で食べよう」
「うんっ、な、なんだか、お姉様に力を分けてもらえるかなって、そんな気がして、持ってきたんだあ」
「……確かに。素敵だね」
「えへへっ」
ネグとルンがそんなお話をしていると、ぱたぱたと足音が近付いてきて、マカロンを大切そうに抱えたレタが戻ってきました。
「持ってきた〜!なになに、なんの話してたの?」
「お姉様からいただいたお菓子を食べたら、力を分けてもらえそう……って」
「わあ!確かに確かに!それで皆でリボンもらえるといいな〜!」
勉強がんばろーっ!と意気込むレタに続いて、二人もおーっとやる気を見せるのでした。
- - - - - - - - -▷◁.。
「んあ〜!覚えらんな〜い!!」
べちゃ、とレタが机に突っ伏してしまいました。
「……少し、休憩しようか。ほらレタ、お菓子まだあるよ」
「お菓子!食べる〜♡」
ネグがフィナンシェを差し出すとレタは途端に起き上がり、かぶりつきました。ルンもそれを見ながらさくさくとマカロンを頬張ります。
「こ、こればっかりは、暗記するしかないもんねえ」
「んむ、そうなのよね〜。御伽が一番難しいよ〜」
レタがぱらぱらと御伽の教科書をめくります。
「……問題、出そうか」
「あ!クイズ的な?いいね、ネグ天才〜!」
ネグが出題者、レタとルンが回答者として問題を解くことになりました。
「……じゃあ、問題。遠い国に旅に出た女が持ち帰ってきたものはなんでしょう?」
「え〜?角砂糖じゃなかったっけ」
「あ、えと、砂糖菓子、だよね…!」
「……ぴんぽん、ルン、正解。砂糖菓子」
わあい、と喜ぶルンの横で、レタがまたふてくされてしまいました。
「……いっぱいがんばったら、大糖祭で、好きなお菓子つくってあげる」
「ほんと!?ネグほんと!?アタシキャロットケーキ!」
「る、ルンは、フルーツタルトがいい…!」
我先にとお菓子を提案する2人に、ネグはわかった、と出てきたお菓子をノートの隅にメモしました。
「……再開しよう。次は、……かみさまは何故怒ってしまったのでしょうか」
「え、な、なんだったかな……」
「はいは〜い!約束を破られたから、だよね!」
「レタ、正解。次は……」
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「はあ〜!いつもの3倍くらい勉強した〜!」
再びレタがべしゃりとテーブルに伏せました。今回はやり切った、というような笑顔です。
「……おつかれさま。きっと、テストも大丈夫だよ」
「そ、そうだねっ、いっぱい頑張ったもんね…!」
「うん!絶対リボン手に入れてやるんだから!!」
うおーっ!と両手を空に突き上げるレタを見て、ネグもルンも楽しげに笑うのでした。
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