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ベランダの隣人
さっきまで夜の温もりの中で微睡んでいたけど、カーテンの向こうが次第に明るくなって、部屋の中をうっすらと明るくしていく様子を見ていると、何かが生まれ変わってそこに命を吹き込まれたような感じがする。
朝が動き出す前のこの静けさが、ぼくは大好きだ。
やがて、名も知らない鳥達が歌を歌い始めて、それが複雑に重なって、朝を迎えた音楽になっていく辺りもすごく好き。
朝早くに、アラームとマナーモードで鳴動するスマホを寝ぼけまなこで手繰り寄せて、ほとんど無意識にスヌーズモードにして二度寝をする柚羽は、ベッドの水色のシーツにくるまれたふかふかの羽毛布団にくるまって、携帯を持ったまま、再びスースーと寝息を立て始めた。
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