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そして。
『私』達とは。
『私』とは。
『銃火器』を所持する全ての市民の『標的』となるべく製造された、疑似あるいは人造の人体である。
要するに『私』は、実際の人間と同様の外観を持ち…且つ、全ての体感情報を記録するレコーダーを、人工脳内部に備えている。
『私』達一個毎に。
狙撃を受けた際の状況。
具体的には、その地点…及び時刻。
狙撃を行った側の市民に関する情報。
…年齢、性別、体格、顔貌、あるいは行動の傾向など。
…全ては壊れない脳内部にてデータへと変換され、保存され、集積される。
そして…一定の精度の期待されるクライシス・マップの個細胞として、それらの累積は機能することとなる。
『人間は常に、隣人より強く在ることを望む』
『人間とは、隣人に対する優越を至上の愉悦とする』
かつて…とある書物のページに有り、偶々保存していた言葉である。
そのような…人間の『望み』と『愉悦』のために、『私』達の存在はあるのだろうと。
…『私』はそのように理解している。
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