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はじまり。
一面の黒からまばらな白が生まれていた・・・。
雪が降っていたんだ。
それは深々と・・・沈々と・・・。
音を呑み込み、ひっそりと息吹く生命を殺すかのように・・・。
静かに・・・静かに・・・。
冷たく・・・冷たく・・・。
昼間は確か風花が舞っていた。
青い空に気分も晴れてもうそこまで暖かな春がやって来ているのだと思っていた。
なのにまさかこんな深雪になるなんて・・・。
ベッドから抜け出し、窓辺に立った僕の手足はどんどんと冷えて赤くなり、鼻はつーんとなって耳はヒリヒリと痛んでいた。
吐き出す息は微かに白く、曇った窓ガラスを凍えた手で何度も擦り、降り続ける雪をただ眺め続けて僕はその人を見つけた。
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