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ぼくたち四人は近所に住んでいて、幼い頃から一緒にいることが多かった。
不慮の転落事故だった。
生きていれば有希や俊佑とともに、近くの公立中学に通う予定で、ぼくだけは父親の仕事の都合で東京の学校に行くことが決まっていたこともあり、それまでに彼女に想いを伝えなければと焦っていた頃のことだ。
そんな矢先の彼女の事故。そのショックに、ぼくは何も手に付かなくなってしまい、家に閉じこもるようになってしまった。事故以降、次に学校に登校できたのは一週間後のことで、その放課後ふたりに「タイムカプセルを埋めよう」と誘われたのだ。
『なんで、急に……』困惑とそんな気分じゃないという感情のせいか、すこし言葉が冷たくなってしまった。
『気持ちが整理できてないの、お前だけじゃないんだよ』という俊佑の言葉に、
『うん……』と有希が頷いた。
『ごめん』
『お前を責めてるんじゃないんだ。そうじゃなくて……。三人で、気持ちを整理するために郁に向けた手紙を書かないか。それをタイムカプセルに埋めて、誰も見ない。自分だけの自分の気持ちを整理するための、彼女宛ての手紙だ。それでいつかおとなになったら、三人で開けにいかないか?』
そしてぼくたち三人は死んだ彼女に向けて、手紙を書いた。
ぼくは彼女へずっと好きだったという気持ちを書き綴った。幼くて、拙くて、だけど一生懸命な想いだった。
そしてタイムカプセルを埋め、卒業式を終え、引っ越しの日が近付いてくると急にあの手紙がいつかひとの目に触れる、という事実が耐えられないものになってきた。悩んだ末にぼくは東京への引っ越しの前日、夜中に学校に忍び込み――。
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