宝石の学園

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「い"っ…!」 腕が背中に曲げたまま、外側に捻られた。 痛くてどうすることもできないまま、壁に押さえつけられる。 「指輪は外してね、霊式銃なんて怖いもの」 「あ…!」 指輪が音を立てて床に投げ出される。 「痛っ、腕、離して…もらえませんか」 「嫌だ。君逃げるでしょ。これは何?採血機か。いいや、直接もらうからこれも外そう」 「はっ…?」 白い腕輪も床に放り出された。 「20だっけ。良い匂いだ」 ノアは俺を押さえつけたまま、腰に下げた護身用ナイフを俺の肩に当てた。 「この辺がいいかな。あ、服が邪魔」 ノアは俺の制服の前のボタンを外し、肩を出させた。 「傷つけるよ。押さえつけながらだとここが一番やりやすいんだ。痛いけど我慢して」 「あっ…!」   暖かく垂れる血を、ずるりと舌が掬った。 「あ、…あぁっ」 ノアは膝で俺の股間に割り込み、そのまま俺の足が地面から浮くように上に膝を持ち上げた。 「…美味しい。体に染み渡る感じ… 今までにない新鮮な血だよ…」 傷口を漁るように舌と唇が強く皮膚を吸った。 「い"…痛…」 「皮膚も白くて張りが良い」 ノアの手は俺のシャツをかき分けて中へ入り、 腹をさする。 身体中に鳥肌が立つ。 血を飲むだけじゃなかったのか? 痴漢されてるような気分だ。 あんなに武器を装備してたのに、こんなに簡単に身包み剥がされるなんて… 気持ち悪い。逃げたい。 体温が怖い。 濡れた唇が皮膚に吸い付いては、ゴクリと喉を鳴らす。 「次は笑気麻酔でも盗んでみる? 君も気持ちよくなれるし」 「も…、し…しないっ…」 こんな風に血を取られるとは聞いてない。 これじゃ体ごと売ったも同然だ。 「ああ、ごめんね。 ちょっと痛すぎたかなあ…」 ノアは俺の腕を捻るのをやめ、俺の体を自分の胸にもたれさせた。 左腕は俺の腰を抱き、大きい右手の指が口の中に入ってくる。 「痛みは快楽で消すんだ。目を閉じて」 唾液で濡れた指は、俺の胸を這った。 背中が反って、耳にかかる息で目眩がした。 震える息を堪えながら、歯を食いしばる。 噛み締める奥歯がなくなっていた。 脳裏で竹内の顔が嬉しそうに笑っていた。俺がこんな目に遭うのを知っていながら、奴は… 《万が一弱みを握られても、血を差し出せば相手は黙りますよ。人気の無い場所で背中の印を見せ、好きなだけ血をやると囁けば…相手は言いなりです》 そこで千秋が、子供に余計なことをと苦々しい顔で竹内を制した。でもそれ以外に、ノアを懐柔する方法はあったのか…? ノアの指先が胸の突起を見つけ、先を優しく撫でた。 「んっ…!!」 他のことを考えてる余裕もなくなった。 ぬるぬると濡れた指がそこを擦ったり、爪先で先端をかりかりと引っ掻いた。 他人の手が予測不可能に敏感なところを漁るのが、こんなに簡単に許されてしまうのか。 俺は許した覚えはない。 「んっ、ん、んんっ…!」 「ほら、気持ちいいでしょ」 自分が信じられない。 簡単な摩擦に声を上げて、 易々と体を預けてしまう。 ノア・ミシュカ…茶髪、青い目の長身で、見た目は人の良さそうな奴で、害のない奴だと思ってしまった。 まだ知り合って数時間しか経っていないのに。 思えば図書倉庫から逃げようとした俺を逃さなかったのは… 隣にいた時から俺が人間と気付いてたのか、 上手くいけば俺を食えると思ったのか。 それとも血の売買とは元々こうするのが《常識》だったのか。 どちらにせよ、なぜ危険な行為になり得ると気がつかなかったんだ。 俺が、自分で鍵を掛けさせた。 俺が馬鹿だった。 印なんて触らせて… それ以外にも、何か打開方法はあったはずなのに。 ノアは俺の顔を覗き込んで俺の頬を撫でた。 「魔女の子なのに綺麗な顔だね。化け物みたいだって聞いてたけど…君は美味しそう」 「…っ」 俺はお前の食料じゃない 悔しくても頭の働きが悪く、抵抗したらいいのか口答えしたらいいのかわからなくなる。 「次はベッドでしようよ」 ノアは股間を俺の尻に押し付けた。 布が擦れる音がする。 「は…っ…」
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