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これからどうしよっかなぁーなんて、タバコを吸っていると、隣の彼がモゾモゾと動き出した。
「おはよ。」
「……ん。」
は?
は、はは。
何その反応。もうちょっとなんかないわけ。
その反応過去ワースト1位だけどやり直す?
別に頬を赤らめて欲しいとか、いじらしい反応して欲しいわけじゃねぇーけど、
「で、どうよ?女になった気分は?」
彼がこっちをチラッと見てそのまま視線を逸らす。
かっっ
わいくねぇぇぇー、
やっぱり恥じらえよ。
お前昨日の記憶飛んじゃったわけ?あんあん俺の下で喘ぎまくってたけど?
「あー、そそらねぇーわ。」
イライラして乱暴に言うと彼がピクッと反応してこっちを向き、強い口調で話し始める。
「そんなの最初から分かってたくね?じゃあなんで来たわけ?」
いきなり起き上がり怒声でスタートをきる彼。
なになに、急にスイッチ入るじゃん。
驚く俺をよそに彼はエンジンマックスで攻め立て始めた。
「こっちだってお前に頼んでねぇんだけど、見境いない?俺なんかに勃って羨ましい?お前こそ俺に手だしちゃったけど大丈夫そ??」
いきなり捲し立てる彼に、開いた口が塞がらない。
思わず口から間抜けな声が漏れた。
何となく嫌な予感がして誤解を解こうと口を開く俺と、阿呆みたいな反応に痺れを切らした彼が口を開いたのは同じタイミングだった。
「お前が抱いてる男はさぞ女みたいに小綺麗で可愛い声で鳴いちゃうんでしょうねぇ!?あ゛?
女みたいに膣トレーニングとかしてんの?
じゃあ俺もしてれば良かったわけ?ウケる!!」
彼は俺の胸ぐらを掴むと吐き捨てるように叫び出す。
「友達だと思ってたヤツに都合のいい穴扱いされてんだけど、笑いがとまんねぇーーわ!!!
挙句の果てにやっぱり違ったんだろ?どこが違った?意外に面倒くさそうだと思った?声が無理?顔がむり?あ、それともどっちも無理だった?!
」
は?
何の話か分からずに一旦フリーズするがニヤニヤと笑う男の顔が浮かんできた。
・・・あの天パ野郎変なこと吹き込んだな。
こいつは人の話も聞かずに、
狂ったように怒鳴り散らす彼に意味が分からなくてだんだん俺もイライラしてくる。さっさと誤解を解けばいいのに売り言葉に買い言葉。言っとくけど俺、あのクソ野郎を誘ったの許してねぇーから。
「何の話してんの?お前頭大丈夫??」
「今更とぼけてんじゃねぇーよ。
あの天パ野郎から全部聞いたけど??
そうゆう関係?
セフレ?3P?
連れてきた?!
別に俺あそこであのままヤッても良かったけど?
あ、お前が無理なんだからしょうがねぇーか!
お前が俺みたいな奴とちょっと部室で話したからってすぐ仲良くなるなんて変だなって思った。都合いいと思った?静かそうだしいつも1人だし?
残念だったな。俺お前が思ってるより大人しくねぇーから!!」
クソ男と俺じゃなくてそいつを信じた目の前の男への怒りで俺は言葉を失う。何でそうなるわけ、
喋ってることだってめちゃくちゃで単語しか頭に入ってこない。3Pとせフレって何、彼はさらに手元の力を強める。いたいいたい。
「毎回女連れ込みあって交換セックスしてんだろ?
前回は男?今回は?約束したんだってな??
クラスで地味な奴が1人いるから連れてくるって?
へぇーーー!!!!!
それって、誰の事だったんだろうな!?!
釣れた魚が大したことなくて大変じゃん。でも向こうは乗り気だったけど??良かったじゃん!
お前が思ってるより俺使えるらしいけど!!?」
人間というものは予想だにしてない言葉に対して素早く反応することが出来ないと授業で習ったが、この状況の事を言うのだろう。あの天パ野郎を1発殴ろうと決めて冷静になる。
「俺借りは作りたくないから。
こいつにかけた時間無駄って思われたくないし、
ギブアンドテイクっていうじゃん?
だからあいつに抱かれてやって、テメェとの縁を切ろうとしたんだけど、なんでお前が来るわけ?
あのパーマ野郎はどこいったんだよ」
ほら、もう血走って怖いよ。そのまま脳の血管切れるんじゃないかと思うくらい彼は沸騰している。
何となく何が起きたのか理解したので落ち着かそうと胸ぐらの手を掴むと、突然スイッチがきれたのかいきなり俯き、手をだらっと離した。
え、どうしたん?ほんとに血管切れた?
あまりにもの変わりようにまた困惑する。
俺は焦って彼の顔を、のぞく。
「大丈夫?どした?」
彼は返事することなくそのままベッドにダイブする。
え、えーーー。
いきなり爆発しては何事もなかったように沈まる。まるで嵐だ。うつ伏せになってる彼の横に腰を下ろし、頭を撫でながらできるだけゆっくり、安心させるようにはなす。
「 お前をセフレとして使おうなんて考えてないよ。」
先輩と男を抱いたこともあったけど、連れてきて欲しいなんて頼まれてないし、友達をセフレとして紹介するなんてこともない。あいつらが来てたのはたまたまだし。
「何聞かされたかは、、何となく予想つくけど、全部作り話だからそれ。」
まぁ、たまにそうゆうのはやってたけど。
さすがにクラスメイトは引っ掛けねぇーよ、
彼はベットにうずくまったままで反応はない。
聞いてるのか聞いてないのか分からないがとりあえずできるだけ優しい声色で話し始める。
「見境いないって言ったのは、俺の友達にまで手を出さないで欲しいって言う意味で、羨ましいってのは嫌味。よくこいつに勃ちますね?って、そうゆう意味で言ったんじゃない。」
お前と一緒にいるのは気が合うから。空気感が、いいだろ俺ら、お前もそう思ってるんじゃないの?
なんで先輩の言葉だけでそんな風になっちゃうの?俺は別にお前を先輩の元に連れてきたくて仲良くしてた訳じゃないんだけど、
なんだかよく分からない気持ちがこもって早口になってくる。声色で自分が追い込まれてるのに気づく。
無反応な彼を確認して一呼吸置き、ゆっくりを意識しながら再び重い口を開く。
「俺が気づかなかったらそのまま先輩とヤッて、誤解されたまま縁を切られてたわけでしょ?
そっちのが悲しいんだけど、」
鼻がツンとして何故か次の言葉が出てこなかった。
俺への信用とか、今までどう思ってたのとか、聞きたいこととか、よく分からない感情がごちゃごちゃ。
当の本人は黙ったまま一切動かない。
俺はそのまま続ける。
「それに、もし、もしだよ?
先輩にお互い男を連れてこよう。と提案されたとしても、お前は連れていかないよ。
勃つ、勃たないとか、エロい、エロくないの問題じゃない。
普通にクラスメイトと仲良くなって、信頼関係築いてからセフレにするより、どっかのクラブやバーで引っ掛けた方が手っ取り早いじゃん。
普通そう考えるだろ?
わざわざ面倒臭いことすると思う?この俺が。」
隣で消沈する彼の元に近づき髪の毛を弄る。
頭をぽんぽんとしてため息混じりに語りかける。
「、、分かってくれた?俺がどれだけお前との仲を大切にしたいか、伝わってると思ってたんだけど。」
「…ごめん。」
しばらくして彼の小さい声が部屋に響いた。
思わずふっと笑ってしまいそうになる。安心からかなんなのか一気に肩の力がぬけた。しぼんでいる彼はまるでさっきの人とは別人のようだ。
こうゆうのを可愛いって思ってしまうって、イカれてんのかな。それとも疲れてんのかな俺。
そのままヨシヨシと撫で続ける。
なんであの酔っ払いの言うことそのまま信じたのかはよく分からないけど、普通に考えれば分かるだろ。どっと疲れが出てきて目の前の男を憎らしく思う。
彼のスレートの髪がさらさらして気持ちいい。
昨日、あいつが彼を抱くと思った瞬間に全身に嫌悪感が走った。
嫌だ、渡したくない。
自分の中から感じたことのない独占欲が込み上げてきて驚いた。
こんな爆弾抱えてたら自分までいつか爆発してしまうかも、そうじゃなくても、俺のいない間に勝手にどこかにいって自爆してしまうかも。
どっちにしろお前は爆発するんだな、
そこまで考えて笑いが止まらなくなる。
なぁ、俺の隣にずっといてよ。
そう思ったら勝手に口が動いていた。
「付き合おうよ。俺ら、合うと思うんだよね。」
合うって絶対、その爆発受け止めてやるから。
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