変化

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『明日学校いく。』 『まじ?ついに?』 速攻で帰ってくるLINEに笑う。 あいつ暇なんか。 『うん。学校の授業ついていけるかな。』 『元からついていけてないから大丈夫だって、』 送られてくる謎のゆるキャラに1発きめてやりたい。 『今日なにしたの?』 『文化祭の役割分担。夏休み行かないとね。』 いつもなら面倒くさいと思ってしまうが、夏休み中にも彼に合う口実ができると思えば最高だ。 『ちなみに俺とお前は違うチーム』 はい、死ね。 なんっでだよ。 俺は自分の運の無さに思わず携帯を投げそうになる。文化祭とかだっっっる。絶対行かねぇわ。 『まぁ、中と外の装飾だからほぼ同じ日、一緒に行こ。』 行く行く、 文化祭とか最高じゃん、青春じゃん。 俺はテンションが上がって足をバタバタさせる。 『電話したいけど、』 送られてきた彼からのメッセージに頭を悩ます。 今日でちょうど1ヶ月。明日会うならどうせ電話しても変わらないが、決めた期間はちゃんとルールを守りたい。 と心の中で思いつつも体が勝手に通話ボタンを押している。 やっちまった。 目の前に表示される通話中マーク。 『やふ。』 電話してしまったものはしょうがない。 俺は高鳴る心臓を教えて自然な声を出そうとする。 電話越しに彼の笑い声が聞こえてくる。 まだ何も言ってないのにすでに笑いが止められないようだ。恥ずかしくなって顔が赤くなった。 手汗がすごくてスピーカーにし、半ズボンで両手をふく。 あれ、俺今までどうやって喋ってたっけ? 前までは話題を考えたことなんてなかったのに、何話せばいいか分からなくなって突然電話をかけたことを後悔する。俺が何を話そうか悩んでいる間にも携帯から笑いを押し殺すような声が聞こえてくる。 『いつまで笑ってんだよ。』 『ごめんって、だって笑 』 声が震えている。変わらない声質と喋り方に思わず口がにやける。心が暖かくなって、自然と口から出た言葉には緊張は乗っていなかった。 『何してんの。』 『今?お前と電話してる。』 いや、それは知ってる。 『何して、たの、』 溜めて強く言い直すとまた彼が笑う。 こいつ、どついたろか。 笑いすぎだって、いつの間にそんなツボ浅くなったの。こっちまでつられて笑えてきた。面白くて堪らない。 『何笑ってんのよ〜、ツボあっさいなぁー』 『それお前だって、俺らまだ何も話してないよ。笑』 頬の筋肉が限界まであがって不思議な感じ。 今まで笑ってなかった分、筋肉が吊りそうになって痛い。 会いたい。 思わず口から零れそうになって慌てて口を塞ぐ。 しかし、人間というものは不思議なものだ。 目の前には彼の家がある。 どうやら電話しながら彼の家に向かっていたらしい。しょうがないしょうがない。これは不可抗力だ。俺は自分に言い聞かせチャイムを押す。 『え、もしかして俺の家の前にいる?』 チャイム音が電話に通じたのか、彼が楽しそうに聞いてきた。何となく素直に答えるのが嫌で短めに頷く。 その瞬間また携帯からデカい笑い声が聞こえてきた。 『俺、お前の家にいるんだけど。笑』 次は俺が吹き出す番だ。 『どーする?真ん中の公園で会お、』 『うん。』 俺は待ちきれなくて被せ気味に返事をした。
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